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アイカツ!の曲のかっこよさについて

この記事はアイカツ! Advent Calendar 2017の25日目の記事です。

はじめに

女児向けアーケードゲームやアニメには、そのターゲット層とは裏腹に、コアな音楽ファンをも虜にするような楽曲を繰り出してくる作品が少なくありません。

とりわけアイカツ!は、曲調の多彩さやクオリティにおいて群を抜いている印象があります。

この記事では、アイカツ!の中でも筆者が特に好きな二曲「KIRA☆Power」「フレンド」を題材として、 そのかっこよさの分析を試みます。

1. KIRA☆Power

KIRA☆Powerはアイカツ!第2シーズンのOPで、このジャンルのアニメには珍しいアップテンポなEDMナンバーです。

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作曲はサウンド制作会社MONACA所属の石濱 翔さんです。

ダブステップ

爽快感溢れるイントロ〜Aメロを抜けてBメロに入ると、Skrillexばりのキレのあるダブステップに度肝を抜かれます。

ダブステップを打ち出したアイドルソングとしてはきゃりーぱみゅぱみゅの「インベーダーインベーダー」やモーニング娘。の「恋愛ハンター」などが思いつきますが、女児アニメではなかなか珍しいのではないでしょうか。

また、Bメロでビートを1/2にするアニソンの常套パターンが、KIRA☆PowerではFour on the floorとダブステップによって実現されており、新鮮さを感じます。

ちなみに、同じく石濱さん作曲によるアイカツスターズ!ED「episode Solo」もWobble Bassが唸りまくるナンバーで、こちらはさらにダブステップ色が強くなっています。

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音色

KIRA☆Powerは、BメロのWobble Bassはもちろん、曲全体を通して、シンセサイザーの音色がとても心地よいところも特徴的です。

石濱さんご自身のtweetによると、Massiveというシンセサイザーを主に使用しているようです。

自分でも使ってみたくなりますね。

サビのコード進行

サビは「叶えましょう」の音形がモチーフとなって繰り返されるようなメロディですが、ここで注目したいのがコード進行です。

以下は、「叶えましょう」のトップノート(B)が、各繰り返しにおいてコードのどの部分に当たるかを表にしたものです。(歌詞の引用は何かとめんどいことになりそうなのでしませんが)

コード Bのコード中の位置
AM7 9th
C#m7 m7th
G#m7-5 m3rd
AM7 9th
C#m7 m7th
CM7 M7th

メロディを特徴付ける伸ばし音であるBが、このように役割を変えていくことで、色彩豊かに感じます。

こういった、EDMらしからぬコード進行の妙技も大きな魅力です。

2. フレンド

2曲目は、98話のトゥインクルスターカップにおいて2wingSが歌った「フレンド」を取り上げます。

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作曲は山崎佳祐さんです。

ソウルっぽさ

ふうりさんのソウルフルな「Hey!」とともに、ミディアムテンポの16beatが始まります。

力強い歌声とTp + Tb + T.Saxによるホーンセクションが、Four on the floorに組み合わさることで、ソウルを想起させながらも、アイカツらしくダンサブルな曲となっている印象です。

くわえて、ブレイクをともなうAメロのリズムは、Michael JacksonのRock With Youを彷彿とさせます。

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ギターソロ

残念ながら上記YouTubeの動画ではカットされていますが、Fullバージョンには、ガットギターによる秀逸なソロが収録されています。

CMajorキーのサビから短三度上に転調し、ダイアトニックスケールをベースとしたソロを展開したのち、再度CMajorのサビに収束して完結する小気味よいソロとなっています。

同じく若干Jazzyな風味のガットギターソロがあるアイドルソングといえば、モーニング娘。の「Memory 青春の光」が思い起こされます。

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まとめ

もちろんこれらの要素を持っているからといって名曲になるわけではなく、結局は曲を制作された方たちのセンスによるものと言ってしまえばそれまでなのですが、特徴的な点も多々あることが分かりました。

これからもアイカツ!アイカツスターズ!)の曲からは目が離せません。